趣味から仕事へ 仕事から趣味へ

趣味ではOWL
仕事では収納アドバイザー 本多弘美

 


■テーマの選択

今、庭に対して考えていることを書き留めたかった。せっかくだから、男庭レポートにかこつけよう。しかし、書き留めたいことと「男庭」との接点がどうしても、整合性を得られない。えい! 無理矢理、こじつけてテーマにしてしまえ!「男庭」それは、その多くが、仕事を抱えながらの趣味であること。ルーチンとして、拘束される時間を抱えがら、その中で庭に向き合う時間の捻出。そこにだれもが葛藤を見ている。

私もお仕事をさせていただいている。仕事を持ちながら庭に向かう。これは、男性に限ったことではない。女性にもたくさんいらっしゃることだし、いわゆる対価が得られることだけが仕事なのか。とういうことを考えれば、男庭に特筆することではない。(やはり無理があるか・・・・)まあ、そのあたりは大目に見ていただき、おつきあいいただきたい。


■趣味から仕事へ

私は、趣味(?)を仕事にしてしまった。この見出しと同じ名のセミナーを受け、それがきっかけとなった。幸いにも、ルーチンとして拘束される仕事ではない。時間の捻出は自分の裁量で引き出されるのだが、その捻出が、年を追うごとに難しくなってきた。庭とどうつきあっていけばいのか・・・・その模索が始まった。幸いにも、仕事の内容が生活の延長にあり、庭も生活の延長であった。当初、そのそれぞれは、独立した世界だった。しかし、年を重ねるにつれ、そこに、様々な接点が見いだされるようになってきた。うん?これは、ちょっと面白い世界が見えてくるかもしれない。趣味から仕事へ・・・・そして、仕事から趣味へ。そのフィードバックができそう。いや、この流れは一方通行ではない。仕事と庭。どちらも自然発生的で、どちらが先でどちらがあとというものではなかった。同時進行で、それぞれが進んでいた。


■庭づくり

我が家のボーダーガーデンは、一番どうでもよかった場所。それがいつの間にかメインガーデンとなり、力を入れる場所となった。それを構成するためには、植物の様々な性質を知らなければならないことに気づかされた。そのキーとなったのが、植物の生長具合。すなわち「高さ」である。そして、「葉の形」「色」「テクスチャー」さらに冬の状態。常緑なのか・・・・・落葉なのか・・・そして「開花期」。構成にあたり、私は、となり合うものどうしが、これらの要素全てが違うものにと考えた。そのためには、植物の分類が必要になった。隣り合うものを明かに違うものにする。手っ取り早く表現できるのは「色」だった。色の分類が始まる。モスグリーン、ライムグリーン、黄色、シルバー、銅葉・・・・・・植物を色別に分け、グループ化した。さらに色別に分けた植物を、「高さ」というグループ、「常緑」というグループに分けて自分なりの分類一覧を作成した。そこから、植物を抽出し、ボーダー花壇の、前・中・後に当てはめ、レイアウトをするという作業を何年か繰り返していた。


■最近よくみかける因子分析法から

ガーデンはガーデンで楽しむ一方、自分の興味でセミナーに参加したり、友人から様々な情報をもらう中で、因子分析法と言われる表現方法に出会うことが多くなった。そう、Yojiさんの男庭レポートにある、AlexさんのHPのポジションを示す手法だ。ことあるごとにみかけ、この表現方法、最近のはやりなのかしら?そんなことを友人と話していた。世の中の事象が、こんなXYの座標軸上で表されてしまうのか・・・・全てとは言わないまでも。


■私にとってのボーダーガーデンとは・・・・・

そう思った時だ。「ボーダーガーデンも座標軸なのだ!」と気づかされた。XYZの軸に、それそれのキーワードで分類された植物をプロットしていく作業である!と。そして、そこに時間軸という要素が加わり変化してゆく。私は、この時間軸を、ある2点だけ、抜き出していた。宿根花壇は、華やかさに欠ける。ベストショットはいつなのか。開花期という分類から、2点を割り出していた。

庭をキャンパスに例え、絵になぞらえたり、音楽に例えられたりされる方は、見聞きしてきたが、私にとっての庭は「座標軸!」。まあ、なんとも無機質であじけないことだこと。我が庭を人の気配を感じない庭と言われた方がいらした。私のこの思考を、直感的に察知されたのだろうか・・・そんな事を思った。


■仕事を通して

一方、仕事を通して様々なお宅に伺わせていただいた。その積みかねから、最近見えてきたことがあった。整理がうまくできない人の共通項。それは、分類という感覚を持っていないという共通点だった。なんでも構わず押し込める。その顕著な場所がキッチン。

シンク下に食品があるかと思えば、ガス下にも、吊り戸棚にも・・・・そしてさらに、そこには、フキンがタオルが、調理家電が、調理小物が・・・隙間があれば押し込められていく。同じものは同じものでまとめる。しかし、同じもの、同じグループという感覚が持たれていない。何が同じものなのかわからないと言われる。

この時あるキーワードに着目した。「衣」「食」「住」 一番、多様性があり、物があふれるキッチンにおいて、まずはこの3つのキーワードを元に分類すると、どうやって分類したらよいかわからない人も、迷わず振り分けることができる。そしてさらに細分化されたキーワードがみつかる。それに沿って分類し、適した収納場所に納めてゆけばよいということが見えてきた。

その時だった。「これ、ボーダーガーデンを作るのと一緒じゃない!」.物をそれぞれの特徴に応じて分類し、それを、キッチンという3次元の空間に当てはめていく。キッチンという空間も座標軸。なんだか、おもしろい・・・・・


■学名から見えた、収納との共通性

その一方、ガーデンを通して関心を持っていた学名。この学名には、「世の中すべてのものを分類しようという思想がある」という着眼点を、オフ会に参加された方から伺った。収納における最初の分類が衣食住であるなら、学名における最初の入り口は植物の形態ということになるのだろうか・・・・・収納では、衣食住がさらに細分化され、枝分かれし、その先には、さらに細かく分類されるためのキーワードがみつかった。これらは仕事を通して体験として得てきたこと。これ、すなわち、学名という分類が、形態学に始まり、今や「遺伝子」「色素」などという新たなキーワードを元にして、分類されようとしていることと同じではないか。そんなことを感じさせられていた。こうした細かな分類にアレルギーを示す方、否定される方もいらっしゃる。しかし、その分類するためのキーワードという着眼点に気づいた時、私は面白さを感じていた。

そして学名を紐解いていくと、そこに文化があった。歴史があった。科学があった。一番最初に植物の分類でこだわっていた「色」というキーワード。それが学名と繋がることで、解剖学が、生理学が、そして物理学、心理学にまでも広がってゆく。さらに言語の発生、発達にまでたどり着く。この広がりは、自分の興味次第で、無限の広がりを見せるのではないか・・・・色に興味を持つとその色素に目が向く。それがきっかけとなって、人とのつながりにも発展した。本来なら出会えるはずのない方とも出会えてしまった。なんだか、全てのことが、繋がってしまいそうな気がしてしまう。


■仕事を趣味に・・・・・

最近よく耳にするコラボレーション。今、私は趣味と仕事にそれを見たように思う。自分の仕事、趣味が、生活から発しているものであり、共通項が多い世界だったからかもしれない。仕事をしながらいかに趣味の時間を捻出するかという課題もクリアーしやすかった。そう、仕事も趣味にしてしまえばいいのだ。接点がない場合でも、何かしら共通項を見いだすことができるはず。趣味への取り組み方、アプローチの方法、そうした模索が、仕事に活かされてきた。逆に仕事を通して抱えた問題の解決が、趣味の解決の糸口になる。そんなことを感じたこともある。

ある時、仕事を通して手ごたえを感じたことがあった。新しい着眼点の発見だった。その時、「気になっていたあの木を買おう、記念樹だ」そうだ!何か自分自身、仕事を通して納得できたものが得られた時、「記念プランツ」として残していこう。その記念プランツで構成される私の庭は、自分が歩いてきた軌跡も表している。植物を見て、これは、あの時のあの仕事で、この発見をした時のもの。お祝い事に記念樹が植えられる。それをもじった「記念プランツ」記念プランツを増やすためにも、仕事にもエネルギーを注ぐ。うん、これだ!

家事は仕事なのか? そんな議論をよく見かけるが、そんなことはどうでもいいと思う。個々がそれぞれに抱える問題と自分自身が向き合うことが大切。それを解決するために私たちの趣味である庭作りが、何らかの役に立つことがある。そんなコラボな世界を作り出せたら、庭作りがもっと、もっと楽しくなると思うのだ。

(2002.4.30 記)



* このレポートに関しまして、Yojiさんに html形式に変換をしていただきました。深謝 (終わり)